精神年齢9歳講師のブログ

校舎での出来事、読んだ本、つまりインプットを全てアウトプットに変える実験場、的な。

5分で分かる、『アクティブラーニング』の"理想"と"現実"。

昨今ものすごいトレンドになっている言葉で、『アクティブ・ラーニング』と言うのがある。

resilient-medical.com

 

文部科学省も積極的にコレをプッシュしており、今後これが日本の教育の主体になるとみて間違いなさげである。

gcai.jp

 

しかし、『結局アクティブラーニングって、何をすること?』と言われれば、意外と答えに窮する方が多いのではないだろうか。

 

実際、その定義は、極めて言葉が固く、わかりにくい。

 

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。

 

学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、
教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。

 

発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、

 

教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

 

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/10/04/1325048_3.pdf

 

チンプンカンプンだ。そして恐ろしいことに、結局言葉が違うだけで、

 

『アクティブラーニング』≒『グループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク』

 

・・・と結ぶ解説も数多くみられる。これって結構な誤解を招いている気がする。

 

ということで今日は、僕も自分の腑に落とすまで四苦八苦した『アクティブラーニング』について、光と闇の両面を、なるだけまとめてみようと思う。

 

 

 

テンプレな『アクティブラーニング』の"罠"。

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例えばディスカッションの導入例やその様子を見ていると、結構心が動く。とてもイキイキとした様子、活発な議論。

 

また、夏休みに限らず自由な研究を促し、そのレポートを提出させるとか、色んなアクティブラーニングの取り組みの実践例が転がっている。

 

つい興奮し、自分の生徒へ取り入れたくなるのも、当然だと言える。

 

―もっとも、その制御がきちんとできるのなら、だが。少なくとも僕は、生徒の顔を浮かべると、そんな自信はない。

 

例えば、渋谷教育学園渋谷中学高等学校での導入例が、どうやらその界隈では有名らしい。

www.wakuwaku-catch.com

 

だが、この学校について1つだけ伝えたい。

 

なんとココ、偏差値は67-70の超秀才校日本でもトップ10に入るくらいだという。

 

ぶっちゃけ、『生徒主体の学習』は、言っちゃなんだがそれ相応の地力や精神的自立が生徒に無いと不可能である。

 

そういう意味では、一介の公立校にダイレクトで落とし込むのは考え物だ。学級崩壊が頻発するのが目に見える

 

また、僕は特に『雑多な意見をまとめる方法』とか、『議論を促す言葉遣い』と言ったテクの、体系的な教育は受けていない。

 

つまり生徒にアクティブラーニングを普及しろと言われたら、我流で試行錯誤しながら場当たりするしかない状態だ。これは無責任すぎるだろう!

 

ハッキリ言って、僕はこういうアクティブラーニングを取り仕切る力は、自分に備わってないと思う。

 

むしろ、胸を張って『俺にはあるぜ』と言える強心臓は、日本に何人いるのだろうか。単純に気になる。

 

―ということで、この章の話を乱暴にまとめてみる。

 

① いわゆるテンプレなアクティブラーニングは、生徒自身にもかなりの力量が必須。無理に導入すれば、多分教室が荒れる。

 

② 力量が必要なのは、教える側も同様。その水準を満たせる先生は超少数派では?

 

そんなのもあり、僕はこういう『テンプレ』なアクティブラーニングから興味を失っていた。

 

だが、どんなものも闇あれば光あり。『アクティブラーニング』は、思っている以上に奥が深かった

 

以下、その紹介。

 

結局『アクティブラーニング』って、何?

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すごくもやもやしていたそれに至極シンプルな答えをくれたのは、何度も何度も紹介しているこの本だ。

 

それによれば、

 

『想起』と『再言語化』の要素があれば、それは広義のアクティブラーニングである

 

・・とあった。

 

『想起』とは、何らかの知識を想い出す作業のこと。『再言語化』とは、自分の言葉で知識などを表現することだ。

 

これを踏まえ、下の図を見ると、ものすごく『なるほど!』と思わされる。

https://resilient-medical.com/wp-content/uploads/2018/03/bdeaae434b485ab96a957ac1a2da4a8a.png

https://resilient-medical.com/nurse-management/active-learning

 

『アクティブラーニング』に当たるところを見ると、確かに『想起』か『再言語化』、或いは両方の要素が含まれている。逆もまた然り。

  

すげぇ。真理ってこんなに単純だったのか。

 

そしてこの本には、数多の『テンプレではないアクティブラーニング』実践例が載っていた。

 

それに感動した僕は、そのいくつかを自分で試し、生徒にも積極的に広めていった。

 

感想を受けて調整したり、自分の体験からアレンジを入れたり。そんな日々を経てきたので、結構初心者向けのそれも分かってきた

 

自分の生徒やクラスで『アクティブラーニング』の導入を検討されているなら、そのどれかから始めてみてはいかがだろうか?

 

その紹介は次項にて。

 

初心者向け『アクティブラーニング』実践例。

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①思い出し板書

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ぶっちゃけ『書くだけ』という勉強のフリに僕は懐疑的だ。だが、そこに『想起』のプロセスを挟むと話は別。

 

導入は非常にシンプルだ。まず説明中、つまりコチラが板書をしている最中は、それをノートに取らせないこと。

 

で、一通り説明が終わってから、『じゃ、どんな説明をしながらこれ書いたか思い出しながら、ノートに書いてみ』という、コレだけ。

 

そもそも説明を聞くことと、ノートへの転記が同時に出来るわけはない。両方半端になるだけだ。

 

それぞれの良いとこをキッチリ住み分けさせるという意味でも、この声掛けはオススメである。

 

②ワークの『問題』暗唱

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学校のワークを解きまくることは、手っ取り早く定期テストで高得点を取るカギだ。

 

だがあまりにも量をこなすと、問題番号で答えを覚えるみたいな現象が頻発する。それを防ぐのにオススメだ。

 

これまた簡単。ワークの語句を見て、問題文を言う。つまり、答える方を入れ替えるだけだ。

 

例えば、何らかの説明を読み、その答えを言うのは、慣れて来れば割と簡単だ。

 

だが、その逆は難しい。藤原頼通』って誰?と言われて、上手く説明するのはちょっとしんどいのと同じだ。

 

これは地味に、『想起』も『再言語化』も含んでいるので、学習効果も期待できる。マンネリズム回避としてもオススメだ。

 

―ただ、注意点はある。問題文を空で言える必要は全くないし、いちいち説明を書きだすのもアホくさい

 

生徒がこんなことをして変にハードルを上げたり、時間をかけまくったりしていたら、積極介入してでも止めてあげてほしい。

 

 ③間違い探し

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主に英語で実践している。

 

ある文法の説明をしたとして、その翌週くらいに、『今からどこかが違う例文を書くから、当ててみて』と前置きし、例えば下記の例文を板書する。

 

He sometimes study English at home.

 

There aren't some students there.

 

I've been to there five times.

 

みたいな。実は間違い探しは、『アクティブラーニングの要素』をしっかりと含んでいる

 

文法のルールを思い出すのは『想起』。どこかどう違うのか説明する際に使うのは『再言語化』。

 

板書が手間なら、プリントにしても良い。結構コレ、使い勝手が良いのでオススメである。

 

※答えは

 

He sometimes studies English at home.

 

There aren't any students there.

 

I've been there five times. (to不要)

 

終わりに。

 

ということで、意外とつかみどころのないアクティブラーニングについて、僕なりの考えを書き綴ってみた。

 

初めてこの言葉に出会ったときは、『話し合わせるとか、自分で考えさせるのがソレ』と思っていたが、改めて思うと浅はかだった。

 

意外とコチラで出来る工夫はあるし、難易度も調整できそうだ。そうなると、不思議とワクワクしてくるから面白い。

 

皆様も一度、じっくりとリサーチしてみてはいかがだろうか?

 

それでは今日はこの辺で。