「どんなリーダーになりたい?」という質問を最近よくされる。僕自身の覚悟を問うためなのか、単に好奇心なのか、その真意はわからないが、これに答えるのは難しい。
実を言うと、理想のリーダー像について、僕の中に明確な答えは無い。というより、そんなのを目指しても仕方がないと僕は考えている。
この理由は、【大きな嘘の木の下で】で知った、「成功はアート、失敗はサイエンス」という言葉に強く共感したから、というのが大きい。
「理想のリーダーはこうだ!!」という像が、その人当人にとっての最高の形かどうかなんてのは、全くと言っていいほど共通しない。すなわち、再現性が無いのだ。
一方、「こういうリーダーによる運営で、組織が崩壊した・・」という事例は、気味が悪いほど似通っている。
100点を取るのは至難の業だが、0点を取るのはある意味簡単という話である。そのことを知識として持っているため、その落とし穴だけは全力で避けたい。
僕の矜持は、強いて言えばそんな感じである。今日はそんな話をする。
離職率バリ高の組織から学ぶ。
20代前半の頃、一時期狂ったようにリーダーに関する本を読んでいた。以来とんと読むのを止めていたのだが、最近はその再読を進めている。
その狙いは、「こうやったら上手くいった!」という部分ではなく、「この状況だったら組織が崩壊しかけた」という失敗事例を、一つでも多く拾うためだ。
そして面白いのだが、業態・リーダーの年齢・時代が違っても、崩壊する組織の共通点は不気味なほど似通っている。
例えば、規範があるようで無い、リーダーが自己愛型、急激に無計画な成長路線を取る、社員の大多数がことなかれ主義・・・
僕の最たる仕事は、これらの落とし穴が組織に存在しないか常日頃から目を光らせて、その芽の段階で摘み取ることだと今は考えている。
【観察力の鍛え方】にも書いてあったが、とりあえず安定して6~70点は取れる組織を創り上げて、たまに80~90点を狙うのが要なのだ。博打と曖昧さをどう取り除くか。
そもそも、理想ばかり追い求めたリーダーが最終的に陥る罠は、これまた似通っている。制度や理念、規範が脆弱になって、組織が内部崩壊するというものだ。
夢の前に、まずは現実的な制度・組織作りを。びっくりするほど地味な仕事が山積なのだが、つべこべ言わずにがっぷり四つで取り組みたい。
僕は「ガードレールを作る校舎長」でありたい。
先日、↑の記事を読んで、その内容に深く考えさせられるものがあった。それは、責任感が拗れて、リーダーが管理を強めると、逆に心理的担保が失われるという指摘だ。
これがいわゆる、リーダーが陥りがちな空回りではないだろうか。それ自体は好ましくない状況だなということは、すごく納得がいく。
しかし、管理を強めるという表現と、僕が心掛けたい”規範を整える”という言葉は、どうにも同義に聞こえる。この2つには明確な差がありそうだが、それは一体何なのか。
思うに、それはメンバーの裁量がどこまで反映されるかという部分にあるのではないだろうかと、今は暫定解として考えている。
管理が強い組織はいわゆるトップダウン型であり、メンバーはある意味リーダーのコピーロボットであることが求められる。
一方、規範が整っているというのは、これ以上は行ってはダメというライン以外は、個々人の工夫や努力が反映される余地を残してある状況としたら、どうか。
そう考えると、すごく腑に落ちる。僕がやるべきことは、規範の強制ではなく、その設計と周知と改善。段々と視界がクリアになってきた。
僕は理想を追わない。そうではなく、"最低のリーダー"を全力で避ける。この所存で、1年目は頑張りたいと思いやす。
じゃ、今日はこの辺で。