「START WITH WHY」という洋書をずっと読んでいる関係で、最近折に触れて、「自分にとっての理念はなにか(なぜこの仕事をしているか)」をよく考えている。
そしてそれを考え抜けた際は、証拠として明文化された言葉が現出するはずだと書かれていた。だからひとまず不格好でも、そこを目指すのが今の目標である。
「あらゆる学びを推奨し、共有する」「安心・安全が担保された組織を創る」といった言葉を考えて口に出してみては、「なんか違う」とこねこねする。
無形を有形にするのは極めて難しい。しかしだからこそ、とても大切で、そして面白い時間だなとも感じている。
―そんなとき、この具体化について、参考になりそうな考え方を知った。それは漫画や小説における、キャラクターの作り方についてだ。
僕自身体系的にそれを学んだわけではないが、人の聞きかじりやインタビューの節々などでそのコツやメソッドを知り、転用できそうだなと思っている。
今日はそんな話を書いてみる。
「らしさ」の集合体が個性である。
キャラクターを作るにはどうすればいいか。この明確な答えを僕は持っているわけではないが、最終的にそのキャラクターに何をさせたいかが始まりではないかと思う。
例えば主人公がどん底から這い上がるという話であれば、ウンと憎まれるキャラが必要になる。そしてウンと憎まれるには、何をさせるのがいいのかと考える。
そいつに主人公をイジメさせる?それとも徹底してアンチみたいな言動をする?―そうやって「らしさ」を搔き集めていくと、一つの個性として固まってくるのではないか。
一方、そのキャラクターに相応しくない言動は、意識的に弾いていくのも大切だ。上記のキャラを憎まれ役として立たせるには、電車で席を譲るシーンなど要らないように。
それを突き詰めていくと、発言や行動のみならず、その身なりにも個性が登場するようになる。憎まれ役なのだから、ヤンキーファッションをさせよう、という風に。
他にも、後々主人公たちを裏切るキャラクターが、初登場時にレタスを食べているという巧妙過ぎる伏線を混ぜた漫画もある。(レタスの花言葉は「冷淡な心」「冷たい人」だ)
こんな風に、キャラクターを立たせると一言で言っても、そこにはたくさんの方程式を同時に解くような精密さと労力が求められる。個性を創るのはとても難しいのだ。
―だからこそ、その手法を知って、試行錯誤すると、理念という抽象的なものを形にする作業に、少しは手触り感を持って臨めるというものである。
例えば今、僕はネクタイピンを探している。結構金のそれがカッコよくて色んなネクタイに合わせやすいことを知り、2本目のそれを検討しているのだ。
せっかくならば、そこに自分なりの想いや理念を乗せたいなと、ふと思った。単に「イイ!」と思ったものを身に付けてもいいのだが、それだと面白さに欠ける。
だから考えた。僕が実現したいものの一つは、「安心・安全が保障された組織」である。であれば、安心・安全の象徴となるものがデザインされたそれがいいな、と。
それをヒントに調べてみると、どうやらライオンが、そういった安心・安全や勇敢さ、強さ、懐の大きさの象徴になるのだと知った。
そしてライオンがモチーフになったネクタイピンの内、派手過ぎず、高すぎずというものを探していくと、「イイ!」と思ったヤツを見つけることができた。
即購入するほどではないが、理念というのを形にすることのヒントが得られたのを感じており、面白いレクだったなと捉えている。
数学の公式が閃かないで悩むよりは、とりあえず式を書くと話が進むのと似ている。理念を悩む前に、したいことを体現した例を取り入れていく。
また一つ、面白い知見が得られた。では、今日はこの辺で。