なるべく狙って「中立」の状態であろうと、最近は色々なことを調べている。具体的には、なにが認知を歪めるのかという正体を、試行錯誤しながら探し続けているのだ。
最近は先人が発見して、既に名前を与えてくれたバイアスをずらっと眺めて、そのいちいちに、「俺もそうなんじゃね?」という問いをぶつけ続けている。
そして最近、また一つ面白いバイアスの存在を知った。それは、「時間の見積もりバイアス」というものだ。別名、「楽観バイアス」ともいう。
僕自身はネガティブの塊のような存在で、起きている時間の6割くらいは悲観バイアスが掛かりっぱなしと自負しているが、時にヘンなポジティブさを抱くこともある。
なるほど、俺の中にも陽気な面があるのかと気楽に構えていたが、それはどうやら単なるバイアスに過ぎず、他人の言葉を借りれば認知のバグに他ならないようだ。
正体もろくすっぽ知らないまま、このバイアスに操られるのはなかなかに危険な状況だ。だからまずは、その正体をしっかりとつかんでおこう。
今日はそんな、バイアスに関する備忘録である。
「時間の見積もりバイアス」≒「楽観バイアス」とはどんな歪み?
このバイアスの意味はまさに字面通りであり、「この作業なんてこれくらいで終わるっしょ」という風に、所要時間と手間暇を楽観視するというものである。
だから結果プロジェクトが後手後手に回るし、夏休みの宿題は終わらないのだ。楽観視の功罪は、思った以上に大きい。
例えば西野亮廣氏も、「なぜもっと行動を早められないのか?」という純粋な疑問を、メンバーに語ることがある。
もしかしたら、こういったギャップの遠因として、その底に潜むのが、このバイアスなのかもしれない。
ということで、この正体はわかった手前、それを対処し、せっかくなら活用する方法について、更に考察と調査を続けたいと思う。
それの対処法、及び活用法はなにか?
いくつかのサイトを参照していて気付いたが、このバイアスは、その作業に対する検証・調査・分割・経験が不足しているときに発生し易いようだ。
だから一番単純な解決策は、とにかくその対象を細かく分解することである。わかり易例では、テスト勉強がそうだろう。
「がんばる」ではなく、数学のワークは範囲がここからここで、単元は関数だから計算が手間だろうから、所要時間は大体これくらいだ、と見積もる感じである。
そして、そのそれぞれについての見積もりを大体20~25%増しにすると、段々と正確な見積もりに近似していくそうである。
あるいはかつてその作業に取り組んだ人の意見・経験をヒアリングし、見積もりに反映させるのも効果的だとあった。
つまり、対象を丁寧に分割し、そして一連の作業が終われば丁寧に検証し、それをしっかり共有すれば、個人のみならず、チームのバイアスの解除にも繋がる。
これはまさに、「楽観バイアスはチャンスである」と捉えた方が、健全なように思わせてくれる気づきではなかろうか。
なんかイケそうな気がするという自分を察知したら、まずは心の中で頬を張る。その後、目を覚まさせるため、タスクを細分化し、所要時間を2割増しで計算し直す。
それによって、あくまでもロジカルにバイアスから脱出していく。客観視のスキルがここにも生きるとは、我ながら意外な発見であった。
終わりに。
バイアスの海は思った以上に広大で深い。勉強してきたという自信すら、甘いことを今は身に染みて感じている。
現に今も、日中色々あった関係で、悲観主義バイアスと敵意帰属バイアスの2つが自分にかかっているのを認識している。
それでも、とにかく意識的に中庸であろうとあくせくしながら、この記事を書いているという状況なのだ。人はバイアスから絶対に逃げられない。
肯定的な諦めという言葉を思い出した。すごく、良い言葉だと思う。昔は「ちいせぇこと言いやがって」と思っていたが、含蓄の深さはすぐには理解できないもんな。
自分の認知は簡単に、そして知らない間に歪められる。そのことはずっと意識したいところだ。無理なんだけど、近づきたい目標である。
ということで今日はこの辺で。