精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

理解しきれない他者の背景を読み取るスキルを、僕らは小説の読解問題から学んでいる。

大体どの高校入試も大学入試も、小説・物語の読解問題が出題される。その狙いについては皆様それぞれ一家言あるだろうが、僕はこう考えている。

 

曲解や決めつけ、当て推量といったやり方で、対人評価や状況の判断をするヤツをふるいに掛けるため。

 

得てして、物語文が苦手な生徒は、自分の主観を全開にしてそれを読解しがちだ。例えば、泣いているなら絶対に悲しいのである、という風に。

 

その人の価値観や背景、事情といったヒントを考慮に入れず決め打ちするタイプの人間は、実際に接していてもとてもめんどくさい。

 

そういうのを学校に入れないため、物語文は課されているのではないか。そんな風にさえ考えている。

 

だが逆に、物語文の読解をきちんと鍛えておくことで、上記のスキルが身に着く、という風に言い換えることもできる。

 

自分の理解が及ばない言動や存在に対し、その背景や事情に思い巡らせることをクセづける。結構これは応用が利く話だと感じている。

 

今日はそのスキルを、僕が実は理解できない言動・思考2つに対し、ざっくりと使ってみたというお話である。

 

 

若い女の子はなぜ踊る?

 

僕が「?」となる文化に、Tiktokのダンス動画がある。音楽に合わせて自室や教室でダンスし、その動画を大量にアップしている光景。これがなかなか腑に落ちない。

 

時には露出度を高めたり、性的にやや露骨な動作を入れるなど、一体誰に向けた何の動画なのか首を傾げてしまうものが、よくYouTubeのショート経由で流れてくる。

 

その背景には何があるのか。検索すると、Yahoo知恵袋などの邪魔が多くてイライラしたが、「なるほどねー」と思う背景をいくつか見つけることはできた。

 

まずそもそも、深い意味や哲学なんてなくて、みんなやってて面白そうとか、この恰好可愛いとか、この踊りオモロイとか、そういう軽いノリがほとんどという具合だった。

 

例えばホットパンツを履いておけばおっさんが釣れるといった思考は、いわゆるキモめのオタクの妄想とか、R-18漫画でシバかれるキャラの設定のみの話なのである。

 

それにそもそも、「みんなやってる」ことをやったり、「イイ!」と思う恰好をしたりするのは、僕ら男子だって全く同じ話である。

 

僕らにとっては、それが”ピンポン玉を何度も投げて狭い穴に入れる動画”だし、”モデルの私服をファッション誌で知って真似ること”なんだと思う。

 

そんな僕らを、女子は「なんだこいつら」と冷めた目で見ている。そして踊る女子たちを「なんだこいつら」と理解できない男子がいる。構図が全く同じで笑えてくる。

 

ただし、そういう言動に深い哲学を尋ねられても困るという点では一致するだろう。そう思うと、無駄に深読みしていた自分に呆れる気持ちさえ湧いてきている。

 

楽しいから、それでいいじゃん。本当にそうだと思う。それ以上でもそれ以下でもないのである。

 

余談だが、ダンスの際の衣装はタイト気味か露出が高いのが多い印象があるが、あれは単に、自分の思った通りに筋肉や関節が動いているか確認しやすいから、らしい。

 

そこをスケベな目で見ている人ってのは、人間臭いけど、同時にちょっとキモすぎるよなと、なんか冷ややかな視点を得てしまった。

 

曲解・決めつけを止められない人の悲しい背景。

 

特にXやYouTubeのコメント欄に多いのだが、何をどうしたらその解釈になるのか、全くわからない人達がいる。

 

例えばあるYouTuber兼社長の方が資本提携を発表したところ、「身売りだ~!」「倒産だ~!」「金に走ったか~!」というアホみたいなコメントが散見された。

 

こういう残念な言葉を形容する言葉を探してみたが、「曲解」や「決めつけ」がそれに近いのではないかと思う。そしてその方向で調べていくと、ある言葉に行き当たった。

 

それは「敵意帰属バイアス」だ。昔この言葉で記事を書いたこともあるけど、回り回って再びここに辿り着いたのは、結構不思議だが納得の着地だと思う。

 

さて。まずこのバイアスの定義を改めて紹介すると、こんな感じになる。

 

皆さんは『敵意帰属バイアス』ってご存じでしょうか?少し説明します。


心理学および社会心理学の概念の一つで、他人の行動を敵意的な意図を持って行われたものと誤って解釈する傾向を指します。

 

具体的には、他人の行動をネガティブな意図を持って行われたものと受け止め、その結果、他人に対して不信感や敵意を抱くことが特徴になります。

 

このバイアスは、対人関係やコミュニケーションにおいて重要な役割を果たし、敵意帰属バイアスを持った人は、他人の行動を過度に否定的に解釈し、一般的に敵対的な意図を読み取りやすい傾向があります。

 

これにより、誤解や対立が生じ、対人関係が悪化する可能性が高まります。

eachother.me

 

そしてこのバイアスに自己肯定感の低さや、身も蓋も無いが知性の低さが絡み合うと、他者の成功≒自分を貶めるものだ!という思考、理不尽な攻撃性に成り代わる

 

余談だが、ものすごく皮肉っぽいのだが、同時にとても面白い法則に、ダニングクルーガー効果というものがある。

【知っておきたい】ダニングクルーガー効果とは? なぜ自分を過大評価してしまうのか | リカレント


雑に言えば、思慮も経験値も浅い人ほど、自分は平均より高い!デキる!と自己評価をし易いという話だ。これを知ると、アンチの言動について、滅茶苦茶納得感が強まる。

 

彼らはダニングクルーガー効果で説明がつく謎の自信と、他者に対してとりあえず不信感と攻撃性を用いてコミュニケーションするという謎のシステムを兼ね備えている。

 

まだ子供であれば、成長途上で仕方ないと微笑ましく思うけれど、いっぱしの大人になってこうなっていると、目も当てられない惨状だとさえ感じる。

 

裏を知れば知るほど、本当の意味でスルーの大切さが学べたように思う。何の、とは言わないが、コメント欄はある種の見本市なんだなと、そう感じる。

 

―ということで、乱暴にまとめれば、小説や物語文を読解するときみたく、理解できない部分は少しでも腑に落ちるまで情報を集めた方が吉ですよ、と。

 

そんな話でございますた。では今日はこの辺で。