あと8日くらいで夢の30連勤になります。ヒーハー、中元です。
さて。一時期忙しすぎて、読む時間が減ってしまったが、まだまだ毎日10分程度ずつ、チマチマコツコツとお話を読めている。
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アインシュタインの理論、エディントンの観測、そしてニュートンの計算を超える精度・・。その次は、果たして何なのか。
それは、宇宙のあるがままの姿、ひいてはその起源について突き止めることであった。
以下、また今週の読書感想ブログでござる。
- 3月7日(月) 美しさに反しても
- 3月8日(火) 野生児
- 3月9日(水) 真実探求の道
- 3月10日(木) 真実とは
- 3月11日(金) あるけど触れられない
- 3月12日(土) 望遠に憑かれた男
- 3月13日(日) パンケーキ型の宇宙
3月7日(月) 美しさに反しても
アインシュタインが理論立てたのは、いわゆる【定常宇宙モデル】に近いものであった。
宇宙は収縮や膨張を繰り返すという計算が得られたものの、それではいずれ、宇宙が一点に収斂し、完全に終わる可能性も残される。
それを防ぐためにどうするか?アインシュタインは、”宇宙定数”と呼ばれるものを組み込んで、宇宙がバランスよく留まるように理論の方を変えたのだ。
シンプルで手が加わっていないものの方が美しいという科学の理念に反することではあるが、彼は止む無くこの方法を取り入れたという。
宇宙は永遠不変。全く想像できないが、正しく見えるこの理論に挑む勢力は、この後次第に登場してくることになるのであった。
3月8日(火) 野生児
【宇宙は永久不変などではない】という主張を始めた人物がいる。それは、フリードマンという、ロシアの数学者・物理学者である。
結構性格的には荒くれ者というか、旧勢力に立ち向かうタイプだったようで、10代から政治運動に参加したり、第一次世界大戦に従軍したり、やんちゃだったらしい。
そんな彼が提出したのが、【膨張宇宙モデル(フリードマン宇宙論?)】である。
これはアインシュタインを始めとする、宇宙は不変という理念に反するため、彼を含む当時の研究者たちから、大変不快な思いをされたのだという。
実際アインシュタインに至っては、掲載した雑誌にクレームの手紙まで送っており、その度合いが窺い知れる。
尚、理論が合ってるか間違っているかに、信念・信条は関係ない。実際の世界を説明できて、観測で裏付けられたものが勝つのである。
その勝負については、そもそも始まりさえ、もう少し待たねばならないのであった。
3月9日(水) 真実探求の道
大昔のコペルニクスと同じく、フリードマンの業績も、いわば世間から忘れ去られた存在となった。
原因も似たようなもので、時代の先を行きすぎていたこともあるのだが、何より稀代の学者・アインシュタインに否定されたことが最たる理由である。
そして当のフリードマンも、その後すぐ熱病に罹り急逝したため、この宇宙論はさして顧みられることも無く、しばし忘れ去られることになった。
・・・次にこのモデルに光を当てたのが、異色の天文学者、ジョルジュ・ルメートルだ。なにが異色かというと、天文学者でもあり、司祭でもあることである。
「真実を知る方法は2つある。だから私は両方学ぶのです」
という動機が痺れるほどカッコよかった。この人は一体何を唱えたのか?それは、宇宙が拡大しているとすれば、始まりがあるはずだという・・・。
時計の針を巻き戻すのかのような発想であった。
3月10日(木) 真実とは
宇宙には始まりがあり、今なお拡大を続けている。現在の宇宙の様子を説明できるモデルには違いないのだが、これもまたあまりにも、革新的すぎた。
ルメートルが結果としてぶつかったのは、アインシュタインの壁であった。彼は定常不変でない宇宙を、認めようとしなかったのだ。
直接アインシュタインにこの理論を説明したルメートルが受けたのは、以下のようなコメントであった。
「計算的には合ってるけど、物理学的には全然ちがうよね」
・・アインシュタインに否定されること、それはつまり、当時の学会・派閥からも爪弾きにされることである。
フリードマンと同じく、ルメートルの理論も、しばらく無名という闇の中に消えることになるのであった。
―ちなみにアインシュタインその人は、後年自分がしたことを【誤り】だと認めているらしい。
「権威の側に反抗し続けた私は、皮肉なことに、権威の側にいつの間にか行っていたようだ」
というコメントに、色々と深く、残酷なヒントが隠されているような気がしてならない。
3月11日(金) あるけど触れられない
科学である限り、理論と実験は必ずセットである。化学においては、予測を立てたあと、試験管に薬品を入れて、振ったり加熱したりして確認するように。
触れて、観察して、極端な場合は食べてしまうことさえできる。それが研究なのだが・・。
天文学は圧倒的に異質である。何故ならその対象は、絶対に見ることしかできないからだ。
星を見ること、そして星を見ることでわかることから、理論が正しいかを確認する、超絶難問。それが天文学だという。
では、ガリレオ以来で、一番初めに遠くを見た人は誰なのだろうか。それを語るには、大体18世紀にまで話を戻さねばならないのであった。
3月12日(土) 望遠に憑かれた男
ウィリアム・ハーシェルという人がいた。始めはイギリスに楽団として赴任し、成功を収めたのだが、その転機は突然訪れた。
自宅でおもむろに観測をしていた彼は、今でいう天王星を発見したのだ。当時は水金地火木土までだったので、そこに一つ加えるのは、実は大変な偉業なのだ。
以来天文学に熱狂し、独学で、当時世界最高峰の倍率の7倍以上もの高性能を持つレンズを作成するなど、まさに望遠に憑りつかれることになったのだった。
ちなみに、厳しい寒さの中、夜通し観測する彼を支えたのは、妹だったという。不動の彼の口にご飯を突っ込むことさえしていたのだとか。狂気である。
そんな妹もまた、望遠鏡を手にしてから天文学上の発見を数多く重ねているようで、なんというか、血筋なのかなと思わされた。
3月13日(日) パンケーキ型の宇宙
星までの距離はどうなのか。ハーシェルが用いたのは、星の明るさは全て同じという過程のもと、明るさの明暗を参考にざっくり測るというものだ。
例えばある星を基準にして、別の星の方が暗ければ大体遠くにあると仮定し、明るければ近くにあると仮定する、という感じだ。
もちろん精度など相当に眉唾物なのだが、結果これにより、面白いものがわかった。星の分布を図示したところ、宇宙の形は、パンケーキの形に近いのがわかったのだ。
そして本書では、パンケーキの中に埋め込まれたレーズンが星のようなもの、という面白い例えがあった。
人類がひとつ、また一つと、遥か彼方を見ているという感覚。宇宙のロマンはすげぇなと思わされる。
ってことで今週はこの辺で。