精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

【鬱】とは、心を内側に引きずり込み続ける強烈なエネルギーである。

自分が書いた言葉なのだが、昨日の記事で触れた「鬱状態」についての僕なりの理解と表現は、そこそこ正鵠を得ているなと我ながら少し感動している。

 

僕は【鬱】とは、超新星爆発のようなものだと考えている。言葉は似ているが、外に向けて莫大なエネルギーが放出される爆発と逆で、これは激烈な内側への縮小だ。

 

その収縮しようとする力に対し、内側から膨張する力で跳ね返して釣り合っているのが、いわゆる天に浮かぶ星々の状態だ。

 

空気で膨らんだ風船がイメージとしてわかり易い。ゴムが収縮しようとする力と、その内部の空気が押し返す力が均衡しているから、あの形で安定するのだ。

 

しかし、それらのバランスが崩れて、収縮する力が勝つと、どうなるか。風船であれば内部の空気が全て抜けて、元の小さく萎んだゴムの塊に戻って終わりだ。

 

だが星の規模となると、現象のスケールも桁外れだ。文字通り一瞬で、超高密度の塊にまで圧縮される。結果、内側に向かって、激烈な重力が発生するのだ。

 

この現象は、本当に鬱と似ている。鬱とは、なんにもやる気が出ないという「怠け」的な話とはまるで異なる。外向けのあらゆる気持ちや思考が、強く引き戻されるのだ。

 

流れるプールの順路とは逆向きに泳ごうとするようなもので、どれだけ足掻いても、現在地から動くことすらままならない。そして今、僕は自分に少しそのケを感じている。

 

今日は改めて、このモデルをベースに、【鬱】について僕なりの考察を深めてみたいと思う。

 

 

心にブラックホールを抱えるということ。

 

ブラックホールと言われれば、宇宙に空いた巨大な穴を想像する。しかし実際は、とてつもなく高密度の天体が”ある”という方が正確なのだ。

 

その密度ゆえに猛烈な重力が発生し、光すら逃れられない。だから肉眼で見ることはできず、間接的にそこに在ることを観察することしかできないらしい。

 

【鬱】とは、自分の心に超新星爆発のような出来事が起きた結果、そこにブラックホールが生じたようなものだと捉えると、すごくしっくりくる。

 

「動こう」「頑張ろう」といったエネルギーの全てが猛烈に引っ張られ、行動を起こすことが全くできなくなる。全てが無に着地し、一切の思考がまとまらない感覚。

 

これは、エネルギーが内から湧いてこないことより遥かに重篤だ。疲れているだけなら寝れば治るが、鬱の場合は、そんな生易しい治療で治ることはまずない。

 

心に生じたブラックホールが消えるまでは、途方もない”時間”が必要だ。それを薬や認知で短くすることはできるが、それでも膨大な時間が要されるのに変わりはない。

 

だからそもそもそんなのを生じさせないことがマストなのだが、苛烈な状況下に置かれ続けると、やがて心身のバランスが崩れ、一気に内側への収縮に転じることもある。

 

数日とか数週間単位のストレスで鬱病になる人はあまりいない。数日だって耐えられないほどの過度なそれを数か月単位で受けて初めて、その域に突っ込む人が大半だ

 

消耗し切って、身体が動かなくなり、思考も止まって、誰にも何も言えず・・・。ここまで行くと、「死のう」と行動する気力さえ、心の闇は吸着してしまう

 

「人間、失格。」とつぶやいたときの大庭葉蔵みたいに、本当に抜け殻のような存在に人を変えてしまうのが、鬱の持つ圧倒的な力ではないかと捉えている。

 

やはり、鬱とはエネルギーの枯渇ではなく、僕はどうしてもその逆で、巨大なエネルギーによって行動が阻められていると思う方が正確だと感じている

 

自分の胸の内にそれがあった頃、僕は自分が何をして生命を繋ぎとめていたか、本当に思い出せない。記憶すら消してしまう力を、それは持っているのだろう。

 

あのまま闇に呑まれて命を断たなかったことが、奇跡だとしか思えない。つくづく、生きるってのは不思議だと思う。

 

闇はそう簡単に消え去らない。

国立科学博物館-宇宙の質問箱-宇宙論編

 

昔観た動画で、すごく身につまされる話を聞いた。それは、人はどのタイミングで自死を選び、決行してしまうのか、というものだ。

 

実は、鬱のどん底から脱して、身体が少しずつ動くようになったぐらいが、一番危険だとされている。行動は起こせるにせよ、その思考はまだ鬱状態だからだ。

 

だから、自殺という悲しいニュースが入ってくると、その関係者たちは、異口同音に、こんな内容の悲痛なコメントを残している。

 

「最近、元気になってきていたのに。そんな様子はなかったのに。」

 

・・・身体が動くようになって真っ先に願うことが「究極の解放」あるいは「自滅」というのは、本当に怖い話だ。闇の引力の強さは、人智を超え得るように思う。

 

ふと気になって調べてみたが、最古のブラックホールは、ざっくり今から134億年前に形成された説があるという。これはビッグバンの4億年後のことだ。

 

時間軸がバグり過ぎてピンとこないが、闇の力は強大なだけじゃなく、それが消えるまでの期間も凄まじく長いことを端的に示す一例ではないか。

 

闇はそう簡単に消え去らない。鬱状態からの立ち直りは、よくて数ヶ月、最長だと一生レベルで向き合う必要があるほどの尺になる。

 

僕は半年くらいで元に戻ることができたのだが、それ自体はいい意味で異常な短さだ。そして完治は、実はしていないのだろうとも薄々感じている。

 

あれから10年近く経過するのだが、僕の心の奥底には、まだブラックホールのような塊があるらしい。だからバランスが揺さぶられれば、それはまた活動を始める。

 

今はまだ少しグツグツし始めた程度だと思うのだが、これがまた爆発したらと思うと、本当に恐ろしくて仕方がない。

 

あと1~2ヶ月くらいは耐えられると思うが、仮にそれを過ぎたり、少しマシなくらいの期間がそれ以上続いたりすると、結構危ないと思う。

 

今度僕の心が強烈に内側へ収縮を始めたら、僕はそれでも生きることを選ぶだろうか。怖い話だが、絶対そうだと言い切る自信は、正直無い。

 

不穏なオチだが、今日はこの辺で。

 

 

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