生徒から『夢』や『目標』についての相談をよく受ける。
するとやはり、中には結構カッチリしたそれを持っている生徒もいるもので。例えば、『医者』とか『教師』とか、そういう感じ。
相手が中学までなら、才能云々を語るのはナンセンスなので、僕は『よっしゃ、頑張れ』と、基本背中を押すように心がけている。
だが、高校生くらいになってくると、色々とデリケートになる。悲しい話だが、自分には卓抜した才能が無いことを悟り、夢を捨て始めるヤツも出てくるのだ。
その際はもはや、アドバイスなんて軽い物じゃなく、人生相談の様相を呈してくる。雰囲気だけならお葬式だ。
相談に乗って、いたたまれなくなって心理学的な話を調べ、また相談に乗り・・・・・。そんなトライアンドエラーの繰り返し。
―こういうことを繰り返してきたので、最近は流石に僕なりの方法論も見えてきた。今日はそれを、手前味噌ながらシェアしてみたい。
『現状、とりあえず何になりたい?』
いの一番に尋ねるのはココ。大抵は本心としてしっくり来ていないことを言うものだが、明確に持っている場合はここでケリがつく。
『教師』になりたければ国立大学の教育学部を推す。そんな風に。ま、こんなケースは極めて稀なんだけれど。
だからこそ、ここは『いや、迷い中です』という答えが来るものだと決め打ちしよう。
実はこの質問による僕の狙いは、『夢についてなんか喋らせて、意識を向けさせること』というただそれだけなので・・・。
ってことで、本番は次の質問から始まってくる。
『何してるときに嬉しい(嬉しかった)?』
こっからがキモだ。続いては、『生徒のモチベーションの源泉』を探る。
物を作っているときなら、工業系が進路として出てくるし、英語が通じたときであれば、それを使えるようなグローバルな進路を考えればいい。
―だがやはり、こういう答えやすい返しがくることは稀だ。僕の経験上だが、大抵は、以下の返事である。
『人が喜んでくれたときっす』
これは非常に漠然としている。大事な考えなのは間違いないが、掴みどころがまるでない。
経験値が少ないと、ここで『うっ』となって答えに窮するが、まだ返しようはあるので、さっさとご紹介いたす。
『原体験はなんだい?』
例えばさっきの問答のあとなら、僕はこう切り返す。
『特にそう思ったときのエピソードって、まだ記憶にある?』
―となると、実はここから割と十人十色のそれが出てくるので面白い。
自分が企画した遊びでみんなが楽しんでくれたとき。自分が作った家具を使ってもらえたとき。勉強を教えたら感謝されたとき。色々だ。
そして、最後の最後にここが要なのだが、僕はあえて『ある1つの職業レベルまで夢を落とし込むこと』は避けている。
例えば、自分が企画した遊びで人が喜んでくれる、そんなのが好きな君は『旅行会社のスタッフ』になるべきだ!などとは絶対に言わない。視野狭窄になるからだ。
仮に旅行会社のスタッフが激務過ぎて、自分に合わなかったとしよう。
その夢に価値を置きすぎると、他の選択肢の一切が消え、そこから辞めるといった発想が出てこなくなる。これは精神的に危険だ。
だから僕は、絶対に返答は『ジャンル』程度にぼかす。
『じゃあ、企画を作ってそれを売る系の仕事、ちょいと調べてみたら?』
という感じに。そうしとけば、旅行会社が合わなくても、例えば広告業とかに目を向けることだってできるはずだ。
尚、可能であれば、僕はその夢を最速最短でお試しできる方法を薦めている。
先の『企画を作る系』であれば、文化祭の実行委員になるのもいいし、極論なんかの遊びを企画して友達を集めればいい。
大抵ここまで話せば進路相談はいっちょ上がり、となる。
―ちなみに、生徒が完全なる『夢・目標迷子』に陥っている場合はどうするか?
あくまで個人的な意見だが、僕は『経済学部』を推している。
理由は赤本等を見てもよくわかるが、進路の幅が無茶苦茶広いためだ。
夢探しの期間という位置づけで大学に行くことを、当人・ご家庭が納得するのであれば、僕は別に悪とは思わない。
ま、個人的な意見と言うことでおなしゃす。
終わりに。
ってことで、夢について志が微妙なことをつらつらと書いてみた。
参考になる点が少しでもあればありがたし。では今日はこの辺で。