本当に心が強いとは、どのような状態を指すのかよく考える。そのヒントになると僕が強く思ったのが、たまたま知った良寛という人のこの和歌だ。
さしあたる そのことばかり思えただ かへらぬ昔 知らぬ行く末
jukukoshinohibi.hatenadiary.com
この和歌にある「さしあたる」とは、おそらく今ここに相対する状況などの総称であると、僕はさっきまで考えていた。だが、ハッと気づくことがあった。
というのも、「今ここ」に集中すると、それは行き当たりばったりを意味し、結局は無軌道・無計画な人生を意味するのではと思っていたからだ。だが多分、真意は違う。
さしあたるときとは、つまり”行動”のことではないか。僕は今そう捉えなおしている。たとえ収穫時が未来であろうと、種をまく行動は今しなければ意味がない。
そして種をまいているときは、そのことに集中しなければ適当な作付けになり、未来の収穫も萎んでしまう、と。そう思えば、「今ここ」の内包する深さが身に染みる。
筆者たちは、良寛とは国も時代も違うのだが、「今ここ」という目の前の課題に対し、全意識を集中してしまえる点では非常に似ていると僕は思っている。
哲学は意外と根底で共通するものであり、それぞれを知ることが、それぞれの深い理解につながるのではないだろうか。そう思うと、心が躍る感じを覚える。
ということで今週も以下、彼らの哲学を紐解いていくことにしよう。
- 7月21日(月) バカとハサミは・・・。
- 7月22日(火) ある意味あまりにも究極的な皮肉。
- 7月23日(水) 環境保護?それとも…?
- 7月24日(木) 自給自足のダークサイド。
- 7月25日(金) 自然とは、複雑だ。ただ気づかないだけで。
- 7月26日(土) 社会とは。
- 7月27日(日) 環境に配慮していれば・・。
7月21日(月) バカとハサミは・・・。

インチキをする人を減らすにはどうすればいいか。それは究極的には、「しないことが一番トク」になればいいのだ。
だから厳罰化がよく行われる。罰金の増額や、免許の停止などがそうだ。極端な例は死刑だってそうだと言える。
しかしアメリカにはたくましい例もある。違反だらけのレーンを放置し、警官を常駐して取り締まりまくっているそうだ。
それを見た他のドライバーは拍手喝采、罰金はたくさん稼げて、悪は懲らしめられる。ここまで完璧に相互作用する綺麗なシステム、なかなか無いような気がしてきた。
7月22日(火) ある意味あまりにも究極的な皮肉。

ありがた迷惑という言葉がある。良かれと思ってやったことが、相手にとって害となってしまう構図だ。
アメリカの絶滅危惧種保護も似たようなものらしい。特に保護区の制定は、巡りめぐって絶滅を助長しているそうなのだ。
保護区に指定されると、その場所の開発が禁止される。ならばと、保護区に制定される前に開発に着工しようというインセンティブが働いてしまうのだ。
なんと皮肉かと思わされるが、経済的合理性を考えると、まぁそうなるかとも思ってしまう。
7月23日(水) 環境保護?それとも…?

これは思想なのか、はたまたそう教わるからなのかはよく判らないが、僕らは環境保護というと、どこか車を目の敵にしがちだ。
だから車を使わず、徒歩とかそういうので移動しろと主張する人たちは多い。だが今日、その話の盲点を学んだ。
徒歩で移動すれば、人は栄養分を消費する。それを別の食物で賄うとなると、それらを生むのに必要なエネルギーは、石油のそれを遥かに上回る。
アイドリングストップも、短時間ならむしろ排気ガスが増えるみたいな話も聞いたことがある。
真の環境保護とは、自分と自然が負う負担の和が最小になる方法を考えて採用することなのかもしれない。非常に高度な論理が要りそうな気がして、身震いしてしまう。
7月24日(木) 自給自足のダークサイド。

昔、某テレビ番組の影響で、節約を目的とした家庭菜園をやってみたことがある。結果としてわかったことは、買った方が安いし早いし美味いし綺麗、というものだった。
一方、飲食店で頼める料理に関しては、材料を買ってきて自分でサッと作った方が安いこともチョコチョコある。絶対ではないが、6割くらいそんな気がしている。
一次産業で生み出される財は、自分で生もうとすると逆にコストが高くつく。しかし二次産業で生み出される財は、もしかしたら例外かもしれない。
何事も自分がやった方が云々てのもまた、結構な暴論なんだなと改めて思わされた。
7月25日(金) 自然とは、複雑だ。ただ気づかないだけで。

なんでも自分がしたり作ったりするのが一番安いという考えは、やはり筆者たちも「甘い」と書いていた。
例えば無農薬栽培が手放しに良いかと言われれば、僕はそれをかなり訝しく思ってしまう。
無農薬だけど虫食いが多めのヤツを食うくらいなら、僕は農薬ありきで育った綺麗で美味しい野菜を選びたい。
いろんな主義主張はあるだろうが、「それはあなたが勝手に貫いてください」なのである。
7月26日(土) 社会とは。

効率化を徹底することは、つまりエネルギーの節約になる。だから大切なのは、専門化することだという。
野菜を作るのは、趣味や娯楽目的でない限り、プロに任せて自分で購入することが一番いいのだ。
例えば僕は釣りが趣味だが、餌や仕掛けを購入した際の額や移動時間を考えれば、収支は毎度毎度の赤字である。
だがそもそも食費を浮かすために釣りはしていないので、かなりどうでもいい。「なんでも自分がやればタダ」って、こう考えると愚かな施策の気がしている。
7月27日(日) 環境に配慮していれば・・。

【伝え方が9割】という本があり、僕も読んだことがあるが、これは何年たっても色褪せない、一つの大きな真理だと思えてくる。
例えば、「洗濯機を毎回回していたらすごくお金と手間が掛かるので、滞在中のシーツの交換はしないでおきます」というと、そのホテルにはクレームの嵐が来るだろう。
しかし、「環境に配慮するため、節水の一環として、滞在中のシーツの交換は控えております。ご了承ください」と言われれば、どこかこう、尊敬の念が込み上げる。
実際行動としては同じことなのに、だ。とはいえ人間の感情の機微を理解し尽くした人は、得てして後者のような言い回しを使い、自分の利益を悟られずに得ていく。
僕はこれをどこか詐欺のような物言いとして一時期は嫌がっていたが、最近は認識を変えている。顧客が満足を覚える限り、商品を売ることは悪でもなんでもないのだ。
今年は夏季講習のコマが昨対比で1.5倍になったのだが、その要因の1つとして、僕がこういう図太さとを、納得を伴って獲得したことが大きいと思っている。
では今日はこの辺で。