【観察力の鍛え方】を読んでいると、「”苦手”は思考停止ワード」という指摘があって、ちょっとドキっとする。
僕自身、嫌なことや、やってて手応えに乏しいことほど、さっさと「苦手」とラベリングし、距離を置いてしまいやすい思考の癖があるからだ。
当然、その対象への理解は、かなり前半で止まってしまう。そして理解が及んでいないのだから、曖昧だという感覚が全然消えず、自然と”不安”がそこにくっついてくる。
ということで今日は、実際に僕が「苦手だなぁ」と思っていることを棚卸しながら、この辺について思うことを書いてみる。
「掘り下げる」とは体系化された技術である。
今僕自身が強く「嫌だ、苦手だ」と感じていること。それは、有給の取得だ。僕は周りの人が働いている状態で休みを取ることが、すごく嫌なものとして感じてしまう。
だが、それはよくないことも承知している。僕が無駄に働けば、人的コストはかかるし、組織としてブラックな文化・価値観が蔓延するリスクもある。
こういった相反する思いが僕の中にあるため、他人のそれは推奨するくせに、自分が有給を取得することはすごく面倒だと、ずっとずっと感じ続けている。
だが、冷静に考えれば、その理由や心情をきちんと掘り下げたことは、これまで一度もない気がする。つまりそれは、格好のネタであるということ。
ということで↑のサイトの方法を参考にしながら、有給取得にまとわりつく「嫌な感じ」を言語化していくこととしよう。
まずは、「なんで有給の取得が嫌なのか?」という浅い質問を自分にかけてみる。特に一つ一つをジャッジせず、思いついたまま並べておこう。
①周りは働いているから、結局仕事の連絡が入ってくるため
②何かあったら結局自分のところに顧客から電話があるため
③引継ぎをするのがめんどくさいため
④休みにしても、することが無くて退屈なため
⑤何も生まない時間が落ち着かないため
というところか。だが、一読してもすぐわかるように、これらは「大体みんなそうなんじゃないの?」という要素が並んでいるだけである。
これはただの起点なのだ。ということで、それぞれの項目に、さらに以下のような問いをぶつけてみる。
「なぜそれが嫌なのか?」
すると、こんな風に分解されてくる。尚、自分の中でしっくりこなかったものは、同じ質問を複数回重ねている。
①周りは働いているから、結局仕事の連絡が入ってくるため
➡休んでいるのに監視されている気分になるから
➡自分にとっての休みとは、誰からも干渉されるリスクがない時間を意味するから
②何かあったら結局自分のところに顧客から電話があるため
➡オフモードを強制的に解除される可能性がずっとあって落ち着かないから
➡自分にとっての休みとは、誰からも干渉されるリスクがない時間を意味するから
③引継ぎをするのがめんどくさいため
➡結果、休むより自分が出て仕事をした方がラクという印象があるから
④休みにしても、することが無くて退屈なため
➡退屈な時間は一番嫌いな時間の使い方だと感じているから
➡どうせなら何かを作ったり読んだり、生産的なことをしていたいから
⑤何も生まない時間が落ち着かないため
➡どうせなら何かを作ったり読んだり、生産的なことをしていたいから
こうしてみると、自分が「なんか嫌」で片づけていたものがどんどん分解されていくだけじゃなく、何か共通点のような価値観が浮き彫りになってきた。(下線部のやつ)
そしてここからが仕上げのフェーズに入っていく。先の記事には、こう書いてある。
ここまできたら、今度は自分の欲しいものに変換する、という作業を行うことになる。
どういうことかというと、自分がたどり着いた本音に対して、「ではどうだったらいいのか?」という質問を投げかけてみるのだ。
ということで、先ほど僕が並べ立てた愚痴っぽい何かに、「こうだったらいいのにな」的な思いを書き添えてみる。
①周りは働いているから、結局仕事の連絡が入ってくるため
➡休んでいるのに監視されている気分になるから
➡自分にとっての休みとは、誰からも干渉されるリスクがない時間を意味するから
▶休んでいる人にはできるだけ電話等の連絡をしない、作業も返信も期待しない、といったルールを社内で共有する。
②何かあったら結局自分のところに顧客から電話があるため
➡オフモードを強制的に解除される可能性がずっとあって落ち着かないから
➡自分にとっての休みとは、誰からも干渉されるリスクがない時間を意味するから
▶休みの日は、出社する人間に転送設定を変えておく、あるいは校舎に電話が繋がるというルールにする。(めんどくさくて転送を切っていなかった(!))
③引継ぎをするのがめんどくさいため
➡結果、休むより自分が出て仕事をした方がラクという印象があるから
▶冷静に考えたら、引継ぎをする方が自分が出社するより圧倒的に楽である。強いて言えば、マニュアル化してしまえばOK。
④休みにしても、することが無くて退屈なため
➡退屈な時間は一番嫌いな時間の使い方だと感じているから
➡どうせなら何かを作ったり読んだり、生産的なことをしていたいから
+
⑤何も生まない時間が落ち着かないため
➡どうせなら何かを作ったり読んだり、生産的なことをしていたいから
▶日頃からやりたいことを思いついた端からメモしておき、それを実行する日にする。
そして、自分が解決策として考えたことを統合し、それが叶ったとシミュレートしてみて、心が軽くなる感覚があれば、それはベクトルとして正しいのだという。
実際にやってみると、僕が有給を苦手とする理由には、僕個人の歪みだけじゃなく、会社が抱えるシステムとしてのバグがあることに気が付いた。
休んでいる人には極力連絡をしない、作業も返信も期待しない、といったルールを社内で共有する。それに伴い、転送設定を調整するというルールを遵守する。
引継ぎをする方が自分が出社するより圧倒的に楽であることを再認識し、一度腰を据えてマニュアル化することで、段々とそれをラクにしていく。
日頃からやりたいことを思いついた端からメモしておき、それを実行する日として有給を捉え直し、前向きに過ごせるようにする。
これが徹底されて、きちんとした制度として機能すると、なんと働きやすい環境になるかと、だいぶ心が軽くなる手ごたえを得られた。
実はこれら自体、誰に言われずとも僕は勝手に守っていたのだが、それを誰にも言わずにそうすることを期待してしまっていた。ここは少し反省ものだ。
ーだが、実はまだ終わりではない。先ほど紹介したブログには、最後にこんな段落が載っている。
ここまで来ても、まだ終わりではない。
では、上で洗い出したあなたが欲しいもの、仕事に求める価値観というものがどうしたら手に入るのかを客観的に考えてみて欲しい。
客観的に、というのは、自分にできるかとか、それをやりたいかやりたくないか、とか、そういった一切の制限をつけないで考える、ということだ。
もしかしたら、今の部署では無理だけれど部署を異動すれば十分可能だ、とか、スキルアップすれば叶うとか、時短勤務にして副業をするとか、実は今の会社をやめずとも、何かを変えることで手に入れられるアイディアが湧いてくるかもしれない。
きっとそんなことに思いを巡らせていると、今の仕事の嫌なことだけではなく、いいところも見えてくるだろう。そうすると先ほどまで嫌だと思っていたものが、そこまで嫌ではなく、じゅうぶん自分の工夫や行動次第で変えていけるものになっていると思う。
―ということで、これもちゃんとやってみる。
尚、客観的という視点を得るため、「こういう風土を達成したいんだよねと友達に相談された」という設定で、自分が書いた文を眺めるように心がけている。
休んでいる人には極力連絡をしない、作業も返信も期待しない、といったルールを社内で共有する。それに伴い、転送設定を調整するというルールを遵守する。
➡提案として会議に提出。勿論、同じようなことを考えている人(特に上役)に根回しをして、事前にある程度口裏を合わせておくこと。
引継ぎをする方が自分が出社するより圧倒的に楽であることを再認識し、一度腰を据えてマニュアル化することで、段々とそれをラクにしていく。➡今度自分が何かを引き継ぐときは、「誰に・何を」といった情報を中心に、書き出しておく。落ち着いてからそれをマニュアルとして書き起こす。
日頃からやりたいことを思いついた端からメモしておき、それを実行する日として有給を捉え直し、前向きに過ごせるようにする。➡日常からメモ帳とペンを持ち運ぶか、自分一人だけのLINEグループを作って、メモ帳代わりにして打ち込む。
おお。特に最初の「根回し」といったフレーズが、自分から出てくるというのがすごく意外だった。そして実際に賛同を得られそうな人の顔が、頭に浮かんできてもいる。
「なんか有給、休みづらいんすよね~」という漠然とした嫌悪が、こうしたものに姿を変えるとは、とても興味深く、面白く感じる。
皆様もぜひ一度、自分が何となく嫌だと思うことを起点として、コーチングを重ねてみてほしい。多分、そこを掘り下げると、何かしらの宝石が埋まっているから。
では今日はこの辺で。